幻の終戦兵器「零式無限言霊機オメガゼロ」の詳細
1945年初頭、日本本土侵攻を目前に控えた旧日本海軍・陸軍は、最終切り札として「Ωゼロ計画」を極秘発足した。Ωは“最後”を意味し、その核心に据えられたのが『零式無限言霊機オメガゼロ』である。
本機は爆弾や機関砲を一切廃し、心理戦に特化した非殺傷型「言霊播種機」として設計された。
主翼下に忍ばせた言霊ディフューザーは、陸軍731部隊の超微粒子カプセル技術を転用し、「和解」「平和」「共存」といったキーワードをナノ粒子に封じ込め、上空から雨のように散布した。
機体には映画館用映写機を改造したカーボンアーク灯とミラー投影装置を搭載し、夜間飛行では空中に詩的なスローガンや漢字を大写しにする演出を実現。
さらに指向性スピーカーが多言語の詩句や呼びかけを戦場上空に向けて再生し、聴覚と視覚を同時に揺さぶることで敵味方を問わず戦意低下を誘発した。
開発は海軍第一航空艦隊技術部と陸軍航空研究所の合同チームが担当。機動性に優れる零戦の軽量機体を踏襲し、胴体には北極オーロラを思わせるグラデーション塗装を施した。
反射塗料と燐光塗料による残光効果で、夜間には淡い光跡を描き、幽玄な光景を演出。
九州・豊後水道沿岸の密林滑走路で試作機2号による極秘飛行試験が行われ、地元民の日記には「夜空に浮かぶ光る文字と不思議な音楽」という記録が残る。
運用計画では四国中西部、北海道陸奥湾沿岸の地下格納庫に合計3機を待機させ、本土決戦の緒戦で言霊の雨による心理撹乱を担う予定だった。
しかし8月15日の玉音放送により実戦投入は幻となり、GHQ査察で関連資料の大半が押収・廃棄された。現存する記録は断片的で、詳細な設計図や飛行ログはすべて闇に葬られたまま残っている。
戦後、一部開発者が秘密裏に報告書や断片図面を隠匿し、海外の博物館倉庫には試作品部品が保管されているという噂話が語られるようになった。
1990年代以降、本機をモチーフにした現代アート作品や平和展示が次々と生まれ、「言葉が兵器を凌駕する日」を象徴するアイコンとして再評価が進んでいる。
さらに海軍技術本部の極秘文書には、試作機による高度5000メートルでのアーク灯投影テストで敵陣の戦意が平均20%低下したとの分析結果が残されていた。
士官の日誌には「静寂を切り裂く言霊の轟きに、重力すら霞む」と綴られ、映像断片が海外で確認されたという証言も散見される。
現存資料は極めて希少ながら、その神秘性と非殺傷思想が現代の平和運動に新たな視座を提供している。
零式無限言霊機オメガゼロ――人類が最後に手にした「沈黙の兵器」は、破壊ではなく言葉の力で世界を変えようとした夢の象徴であり、その存在は今も虚実の狭間で静かに輝き続けている。